目時美穂『共古・山中笑の忘れ残りの記 キリスト教と民俗学のあわいを生きる』(文学通信)

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1月中旬の刊行予定です。

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目時美穂『共古・山中笑の忘れ残りの記 キリスト教と民俗学のあわいを生きる』(文学通信)
ISBN978-4-86766-115-4 C0023
四六判・並製・368頁
定価:本体2,700円(税別)


明治最初期のキリスト教伝道者にして、民俗学の先駆者でもあった山中共古(やまなか・きょうこ)、本名笑(えむ)。山中は果たしていかなる人物だったのか。

生涯にわたってキリスト教を各地で布教するかたわら、その土地の文化や伝承、民衆の生活を熱心に拾い集めた。信仰と趣味に全力を注ぎ、その活動は、柳田国男から「学問と人間愛との奥ゆかしい結合」と評価された。

四半世紀日記のように書き続けた著名な「共古日録(きょうこにちろく)」と「続共古日録(ぞくきょうこにちろく)」には日付がなく時系列で話題が提供されるわけでもない。「数十年前の思い出が書かれたかと思えば、つぎは数日前に採取した好古の情報だったりする」。

幕末から昭和の初めまでを生き抜いた謎と矛盾多きその人生を、膨大な資料を博捜し、浮かび上がらせる唯一無二の評伝。山中はどう生きることを願い、何を体験し、何を感じていたのだろうか。図版多数掲載。

【本書では、最初期のキリスト教の牧師としてでも、柳田国男以前の土俗学(民俗学)成立に功績があった人でもなく、そうした業績と、ここまでに述べた多くの矛盾をふまえ、山中笑というひとりの人間がどう生きることを願い、何を体験し、何を感じたのかをたどってみたい。】......「はじめに 謎と矛盾多き清らかな人生」より

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【著者紹介】

目時美穂(めとき・みほ)

1978年静岡県生まれ。2003年明治大学文学部フランス文学専攻修士取得、2009年同博士後期課程単位取得満期退学。専攻研究のかたわら明治時代の文化風習、文学等に興味をもつ。在学中、古書情報誌『彷書月刊』へ。2010年の休刊号まで編集にたずさわる。著書に『油うる日々 明治の文人戸川残花の生き方』(芸術新聞社、2015年)、『たたかう講談師 二代目松林伯円の幕末・明治』(文学通信、2021年)、『彰義隊、敗れて末のたいこもち 明治の名物幇間、松廼家露八の生涯』(文学通信、2023年)。

【目次】

はじめに 謎と矛盾多き清らかな人生

第一章 道をみつけるまで──江戸城大奥の終焉と静岡移住まで
   忍者の子孫
   千代田の御城
   江戸は滅びる
   みな去りし首府
   静岡藩とクラーク先生

第二章 神の道──明治キリスト教の伝道事情
   全世界に行って、福音を宣べ伝えなさい
   正式な牧師になる
   巡回法下の布教

第三章 人の道──趣味の世界と友 
   そもそも拾い集めてみようと思ったこと
   松浦武四郎がやってきた
   落葉集め
   東京ふたたび
   太平の逸民、集古会の人びと
   山の手月夜会
   見付でみつけたこと
   最後の任地、駿州吉原にて

第四章 彼の道──山中笑流、本当の信仰
   引退牧師の東京生活
   素人歓迎、武蔵野会
   幼なじみの四谷鳶
   老いても子に従わぬやもめ生活
   頑固者の死
   神のしもべ、人の友

おわりに

山中笑略年譜
主要参考文献
主要人名索引