林美里・原大介・木村慧・杉本侑嗣・豊田有『ヒトとチンパンジーの「ことば」を見つめ直す 発達過程におけるコミュニケーションの比較から』[コミュニケーションの未来を創る 第4巻](文学通信)

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10月中旬の刊行予定です。

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林美里・原大介・木村慧・杉本侑嗣・豊田有
『ヒトとチンパンジーの「ことば」を見つめ直す 発達過程におけるコミュニケーションの比較から』[コミュニケーションの未来を創る 第4巻](文学通信)
ISBN978-4-86766-104-8 C0080
A5判・並製・96頁・カバー装
定価:本体1,300円(税別)

「ヒトの言語こそ最も優れたもの」という前提を静かに揺さぶり、「言語とは何か」という根本的な問いに向き合い、コミュニケーションとは何かを問い直す。

ヒトとチンパンジーの「近さ」と「違い」を丁寧にひもとき、コミュニケーションの組み立て方にどのような影響を与えているのか。チンパンジーは私たちと同じ年月を生きのびてきたサバイバーであり、それぞれの種に固有のコミュニケーションの世界をもっている。当たり前と感じてきた「ことば」のかたちを、少し違う角度から見つめ直してみます。言語学・霊長類学・神経科学・文化人類学など多分野の研究者から改めて「言語」を問い直すなど、野心的な試み満載です。

「ヒトの言語が言語の規準である」という考えをずらしてみると、ヒト以外の生き物のコミュニケーションの多様性が浮かび上がると同時に、有限の要素から無限の意味を生み出すというヒトの言語の独自性が、対比の中で浮かび上がってきます。コミュニケーションとことばを考える人に、必携書。

[本シリーズについて]

現在の社会では、言語だけではなく、さまざまな特性によりコミュニケーションがとりづらい人たちがいます。
みんながストレスなく生活していくだけでなく、すべてのひとに力を発揮してもらえる社会にするために、いまどんな課題があり、それをどうやって解決していけばよいのでしょうか?
それを考えるのが新しい学問分野「コミュニケーション共生科学」です。

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【著者紹介】

林 美里(はやしみさと)

中部学院大学教育学部子ども教育学科・教授、公益財団法人日本モンキーセンター・学術部部長。研究分野は比較認知科学。主な仕事に雑誌『モンキー』連載「大型類人猿探訪」など。

原 大介(はらだいすけ)

豊田工業大学工学部先端工学基礎学科・教授。研究分野は言語学(手話言語学/手話音韻論・形態論)。主な論文にHara, Daisuke and Makoto Miwa (2024). Phonemic status of the O handshape in JSL. FEAST 6: 24-34.

木村 慧(きむらけい)

東北大学大学院生命科学研究科・助教(研究特任)。専門分野は神経科学。主な論文にKimura, K. et al., A mosaic adeno-associated virus vector as a versatile tool that exhibits high levels of transgene expression and neuron specificity in primate brain. Nature Communications 14, 4762 (2023).

杉本侑嗣(すぎもとゆうし)

大阪大学大学院生命機能研究科・准教授。専門分野は言語学。主な論文にSugimoto, Y. et al., Localizing Syntactic Composition with Left-Corner Recurrent Neural Network Grammars. Neurobiology of Language 2024; 5 (1): 201-224.

豊田 有(とよだある)

京都大学野生動物研究センター・助教。専門分野は霊長類学。主な著書に『白黒つけないベニガオザル─やられたらやり返すサルの「平和」の秘訣』(新・動物記シリーズ、京都大学学術出版会、二〇二三年)

【シリーズ編者紹介】

菊澤律子(きくさわりつこ)

国立民族学博物館人類基礎理論研究部・教授。研究分野は歴史言語学、言語情報学。主な仕事に『しゃべるヒト 言葉の不思議を科学する』(共編、文理閣、2023年)など。

小磯花絵(こいそはなえ)

国立国語研究所研究系・教授。研究分野はコーパス言語学。主な仕事に「コーパスを用いて日常のことばの特徴を調べてみよう」(『ことばの波止場』vol.11、https://kotobaken.jp/digest/11/d-11-05/)など。

朝日祥之(あさひよしゆき)

国立国語研究所研究系・教授。研究分野は社会言語学、言語接触。主な仕事に『言語コミュニケーションの多様性』(共編、くろしお出版、2022年)など。

【目次】

はじめに──ヒトとチンパンジーの「ことば」を見つめ直す(原 大介)
1・23パーセントから見える世界
「言語とは何か」を問い直す
「ハイブリッド」な対話のはじまりに

第1部 チンパンジーとヒトのコミュニケーションの比較から何がわかるのか(林 美里)

1 チンパンジーとの出会い
2 コミュニケーションは言葉以外が9割?
3 ヒトの非言語的なコミュニケーションの段階
4 ミツバチの8の字ダンスは言語なのか?
5 コミュニケーションとは何かを再定義する
6 ヒトの子どもはどのように言語が発達していくのか
7 ヒトとチンパンジーの赤ちゃんを比較してみると
8 ヒトのコミュニケーションの発達をチンパンジーと比較する
9 ヒトは言語獲得に対するモチベーションが高い
10 ヒトの言語と大型類人猿の研究のはじまり
11 情報共有のための「指差し」はヒトしかできない
12 チンパンジー研究の現在とこれから
入れ子のカップ課
社会的参照を見るための課題


第2部 他分野の専門家の視点からチンパンジーのコミュニケーションを考える

Q‌1 ヒトはチンパンジーの言葉をマスターできるのか?
Q‌2 チンパンジーはヒトより記憶力が優れている?
Q‌3 ゴリラのココは本当に手話を理解しているのか?
Q‌4 チンパンジーと人間の関係は研究に影響するのか?
Q‌5 チンパンジーと人間の遺伝子の違いはどのぐらい?
Q‌6 チンパンジーがヒトの言語を覚えることに意味はある?
Q‌7 チンパンジー同士は手話でどんな会話をするのか?
Q‌8 チンパンジーのコミュニケーションに地域差などはあるのか?
Q‌9 言語と瞬間記憶の能力はトレード・オフ?
Q‌‌10 チンパンジーの表情は誰でもわかる?

第3部 言葉が混ざり合うとき、何が起こるのか?
──「ハイブリッド霊長類言語学」の創成へ(木村 慧・杉本侑嗣・豊田 有)

1 ヒトの言語とサルの脳──言語進化を考察するための神経科学
2 言語を〝獲得する〟とき何が起こっているのか?
3 サルの社会と〝言葉〟──複雑な社会は「多義性」を生む?
4 「ハイブリッド霊長類言語学」の創成

引用文献一覧
サポートメンバーによる編集後記(桂融・白川憩・文学通信編集部)